"Modern Vampires"US版DVD

前回の記事で、ヴァン・ヘルシングが若くクールなアクション・ヒーローとして登場する映画について書いたので、今回はご老体のヴァン・ヘルシングが悪戦苦闘する映画 を採り上げます。




スタッフ/キャスト

監督: リチャード・エルフマン
脚本: マシュー・ブライト
テーマ音楽: ダニー・エルフマン
音楽: マイケル・ワンドマッチャー (と読むのでしょうか? スペルはWandmacherです。)
特殊効果: リック・ベイカー他

主な出演者 (予告編で名前が出た人):
キャスパー・ヴァン・ディーン (製作総指揮にも名前を連ねています)
ナターシャ・グレグソン・ワグナー
ロッド・スタイガー
キム・キャトラル (同年に『セックス・アンド・ザ・シティ』が始まっています)
ウド・キアー

IMDbのエントリーはこちら。 ("Watch Trailer"で予告編が見られます。)

映画、といっても米英でもビデオ発売のみらしく、日本ではビデオ化すらされていません。

監督のリチャード・エルフマンは日本では無名と言っていいでしょう。
他の作品が数本ビデオ化されているようですが、私は見たことがありません。

オリジナルの脚本を書いているマシュー・ブライトはリチャードの弟ダニー・エルフマンの高校の同級生で、オインゴ・ボインゴの原型になったバンド、ミスティック・ナイツ・オヴ・オインゴ・ボインゴでベースを弾いていたこともあるそうです。
AllMusicによれば、そもそもオインゴ・ボインゴ自体、リチャードの映画『フォービデン・ゾーン(Forbidden Zone)』に音楽を提供するために結成されたとされています。(しかし映画が一向に完成しないのでライヴ活動を始めた、と。)



ストーリー (始めの方だけ)

現代のロサンジェルスでは「伯爵」(ロバート・パストレッリ)を頂点とする吸血鬼の一団が秘密結社のような文化を作って優雅かつデカダンに暮らしている。
用済みの人間の死体を始末する下部組織もあり、吸血鬼の存在は人間社会には知られていない。

そこに、吸血鬼のダラス(キャスパー・ヴァン・ディーン)が戻ってくる。
彼は旧友たち(キム・キャトラル、クレイグ・ファーガソン他)には歓迎されるものの、過去に不興を買ったらしく、伯爵からは「3日以内に出て行け」と警告される。

一方、伯爵の作った”秩序”の存在を知らない、単独行動の女吸血鬼ニコ(ナターシャ・グレグソン・ワグナー)は夜な夜な男を誘っては殺しまくり「ハリウッド・スラッシャー」と噂になっている。これは伯爵にとっては迷惑な話なので、さっさと見つけて始末したいと考えている。

ニコと遭遇したダラスは彼女を仲間に加えようとするが、伯爵に逆らうことになるので他の吸血鬼はあまり良い顔をしない。今まで一人で生きてきたニコもさほど乗り気ではない。

その頃、老ヴァン・ヘルシング(ロッド・スタイガー)がロサンジェルスに到着。彼は全ての吸血鬼抹殺を崇高な使命と考えているのだが、中でもダラスに対しては個人的な遺恨があるらしい。
「仕事がほしいから」という理由だけで応募してきた黒人青年タイム・ボム(ゲイブリエル・カシアス)を助手に雇い、まずは捕らえた吸血鬼ヴィンセント(ウド・キアー)の処理を行わせる。
心臓に杭を打ち、首を切断し、吸血鬼退治が「マジ」だと理解したタイム・ボムは重武装の黒人ギャング3人をチームに引き入れる。

一方ヴィンセントの死体を発見したダラスたちは、ヴァン・ヘルシングが迫っていることを知る…


DVD

基本仕様:

リージョンコード: 1 *1
画面: 1.33:1
音声: 英語 DD ステレオ・サラウンド
字幕: スペイン語
時間: 95分 *2

*1: パッケージにもディスクにも記載がありませんが、実際にリージョン1にしないと再生できませんでした。

*2: DVDは「スペシャル・ディレクターズ・カット」とされています。
まともに劇場公開もされていない映画でディレクターズ・カットとは妙だと思いましたが、
IMDbによると先に出たVHSは91分のR指定で、多少暴力描写が控えめになっているらしいです。

パッケージ:

ごく普通のケースです。
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封入物は特典などの一覧を書いた紙が一枚(裏は白紙)のみ。
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メニュー:

大部分は動画メニューです。

メインメニュー
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場面選択
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言語
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特典
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- 音声解説: リチャード・エルフマン & キャスパー・ヴァン・ディーン
- バイオ&フィルモグラフイ: 静止画。文字情報。
- 撮影の裏側 (12分): 主としてセットでのキャストと監督へのインタビュー。 特殊メイクの様子なども少し見られます。
- A Horrific Treat: 同じ会社の『スピーシーズ リターン/種の終焉 (Progeny)』(ブライアン・ユズナ監督)という映画の予告編 (1:40)。



感想など

私がこの映画/DVDを知ったのは、当時よく読んでいたDVD Reviewというサイトのレビューのおかげです。

このDVDのカバーは『ブレイド』の安っぽいコピーにしか見えないが、実際は全く違う、と書いています。カバーに写っている二人や、曰くありげなナイフは映画に登場さえしません。大きく描かれている"M"のロゴはメニューデザインにも取り入れられていますが、本編には出てきません。

この映画は簡単に言えばブラック・コメディーということになるのでしょうが、ティム・バートンが『マーズ・アタック!』で侵略SF映画に対してやったような、ひたすら破壊的に笑えるパロディーではありません。
 

また、タランティーノが『フロム・ダスク・ティル・ドーン』でやったような、バカバカしいほどの暴力描写が快感をもたらし笑いにつながる、という映画でもありません。
 
全体的にのんびりしているし、野暮ったい。そのせいか、1時間半ほどの映画ですが2時間くらいに感じます。

また、笑える場面がある一方で、時に重苦しすぎる場面もあります。
たとえば心臓への杭打ちなどはかなり生々しく描写されていて、これでは笑えないじゃないか、と嫌う人がいても不思議ではありません。
ヴァン・ヘルシングがダラスを憎む理由や、ニコの過去など、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のようなシリアスな吸血鬼映画でも使えるような設定で、そこには笑わせようという意図が見えません。
 
基本的にはコメディーだと思って見ていると、こういう場面ではいささか戸惑います。このあたりが「売るのが難しい」映画にしてしまっているのかもしれません。

ところで、私は最初にこの映画を見たときに、「まるで永井豪のマンガのようだ」と思いました。
エロとグロと暴力を何のうしろめたさもなくハデに描いて乾いた笑いになっているからです。

首輪を付けられた素っ裸の男が、吸血鬼たちのディナーになるべく引きずり出されてきて、股間を手で隠しながら必死に「おい!お前たち!こんなこと許されるわけないだろ!俺はな、弁護士なんだぞ!あらゆる法的手段をとるからな!」などと叫んでいるんだが誰も相手にしない、なんて場面はまるで永井マンガの実写版のようです。
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オープニングのキャスパー・ヴァン・ディーンの顔つきからしてちょっと早乙女門土のようではありませんか。
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大傑作、というわけではないし、誰にでもオススメという類の映画ではありませんが、私は結構好きです。

少なくとも埋もれさせるには惜しいので、日本でも出してほしいです。





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