ウィリアム・フリードキンの『恐怖の報酬』訴訟

新作の"Killer Joe"が久々に好評らしいウィリアム・フリードキンですが、

11/6に、twitter『恐怖の報酬』("Sorcerer", 1977)に関して起こした訴訟について触れています。

この訴訟についてはHollywood Reporterなどでも伝えられています。

ユニバーサルとパラマウントの二社とも、
現在この映画の権利を持っておらず、誰が持っているのかもわからない
と主張しているので、はっきりさせるための行動らしいです。

その後の記述によるとさほど敵対的な状態ではなく、三者による話し合いが行われていて「良い結果が得られるものと期待している」らしいので、わりと近い将来にちゃんとした形でのBD/DVD化が行われるかもしれません。

(アメリカでは1998年にユニバーサルからDVDが出ていますが、4:3画面で画質も悪いようです。)
[2015-06-10: 旧商品リンク削除]

また、こちらのファンサイトの記事によれば、フリードキンは今回の訴訟は金儲けのためではなく、この作品をまともな形で広く見てもらうためのもので、今後この映画から自分に利益が発生した場合は全額を映画の保存・修復活動のために寄付する、とも言っています。(別に全額寄付する必要もないだろうに、と個人的には思いますが。)

こちらの長いインタビューの中でもこの件について語られています。
(最初から読みたい方はこちらから。)

このインタビューでは聞き手はクライテリオンからのリリースについて何か交渉はしているのか、とも尋ねていますが、フリードキンは権利関係がはっきりするまでは何もできない、としています。

『恐怖の報酬』といえば、『フレンチ・コネクション』『エクソシスト』という滅多に無い1・2パンチの大成功の後で、かなり大きな自由を得たであろう状態で作った入魂の力作だったにもかかわらず、興業的にも作品の評価という点でも惨敗し、以後同じような成功を二度と達成できなくなったキャリアのターニングポイント、というのが一般的な扱いであるように思います。
マイケル・チミノ『ディア・ハンター』の次に『天国の門』で史上稀に見る大コケをしたのにちょっと似ています。)

しかし、私はこの作品、大好きです。クルーゾーのオリジナル版も良いですが、


好き嫌いで言えばフリードキン版の方が好きです。

日本では大幅にカットされた92分版での公開だったそうですが、私は見たことがありません。
MCA/ユニバーサル発売のUS版LD(121分)で見たのが最初でした。
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ジャケットには1.66:1のオリジナル・カメラ・ネガティヴからのトランスファーで、映像・音声の全てをフリードキンが監修した、と書かれています。(IMDbによると劇場公開時のARは1.85:1だったようですが。)
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こいつは凄い、と思ったものです。
ポスターにも使われている、ボロボロの吊橋を渡る場面も凄いですが、もう一つ、道を塞いだ巨大な倒木に対処する場面が非常に印象に残っています。ある手段でそれを突破するまでセリフが全然ない。カッコイイですねえ。淀川長治ではありませんが、「映画とはこれ」です。

[2015-12-20追記: この描写は間違いです。申し訳ありません。
最近数年振りに見直したところ、この部分にも多少のセリフはありました。
しかし長い沈黙の部分の印象が強かったので、こういう誤った記憶になったのでしょう。]

クライテリオンからBDが出ることを期待しています。

[2013-04-30: 続報を書きました。読んで頂けるとありがたいです。]


Tangerine DreamのサウンドトラックCD [2019-05-03: 無効リンク削除]


『天国の門』のクライテリオンBD


[2013-02-05: リンク追加]
[2015-06-10: Amazon.comの仕様変更に対応]

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