『恐怖の砂/Ice Cold in Alex』(1958)UK版BD



本作は、日本でも劇場公開はされているものの、ビデオ化はされていないようです。

私も比較的最近までこういう映画があることさえ知らなかったのですが、
少し前に『暁の出撃/The Dam Busters』(1954)を見て以来、
1940-50年代あたりのイギリス映画に対する興味が強くなり、
色々物色しているうちに本作に行き当たりました。

監督が『ナバロンの要塞』のJ・リー・トンプソンであることと、
アマゾンUKのカスタマーレビューなどの評判が良いこともあって、入手してみました。



BDについて

パッケージ
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封入物は何もありません。

Blu-ray.comでは初回版にはスリップカバーがあったと書いてありますが、
私が入手したものにはありませんでした。


基本仕様

リージョンコード:B
時間:130分 (*1)
音声:英語 LPCM 2.0
字幕:英語(聴覚障害者用)

*1: BDのパッケージには「約132分」と書かれていますが、
WinDVDで再生したところ、終了時のタイムコードは2:10:13、つまり約130分でした。
(なお、前記のBlu-ray.comやIMDbなどでは129分としています。)


画質・音質

ディジタル修復がされていることもあり、大変良いと思います。
Blu-ray.comのレビューではそれでもミやキズなどが少しははある、と書かれていましたが、私は全く気づきませんでした。
物語を無視して技術的な粗探しをすれば見つかるかもしれませんが、普通に視聴する際にはまず気づかないと思います。


メインメニュー
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場面選択
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特典
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- シルヴィア・シムズのインタビュー (21:50)
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この映画の製作時に20代だったシムズはインタビュー収録時には80代になっています。
いくら高齢化したといっても同一人物とは思えないほどの変貌振りですが、
元気なお婆さんが気さくに話す姿は好感度が高く、内容もなかなか面白いインタビューでした。


- ジョン・ミルズのホーム・ムービー (15:00)

本作のリビアでのロケ中にミルズが個人的に撮影していた16mmフィルムです。
カラーですが、音声はありません。
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- 予告編 (3:20)

予告編は、発売元のOptimumがYouTubeにもアップロードしてありますが、
これだとただの古臭い戦争映画で、さほど面白そうには見えないし、
若干ネタバレでもあるので、見ないほうがいいかもしれません。



- 製作現場の静止画ギャラリー

11枚、すべて白黒。
スライドショーではなく、「次のチャプター」で進めて行くタイプのものです。


映画そのものについて

冒頭のあらすじ

第二次大戦、アフリカ戦線。
ドイツ軍の侵攻を前に、イギリス軍はトブルクからの撤退を決定。
その過程で、アンソン大尉(ジョン・ミルズ)とピュー曹長(ハリー・アンドリュース)は取り残された二人の看護婦(シルヴィア・シムズ、ダイアン・クレア)を送り届けることになった。
アンソンは最近の過酷な経験からアルコール中毒に近い状況にあり、精神的に不安定だった。

ある事情で本隊から切り離されてしまった彼らは、本来のルートを取ることもできず、砂漠を横断して英軍が掌握しているアレキサンドリアを目指すことになる。

(原題の"Ice Cold in Alex"は、以下のようなアンソンのセリフから来ています。
「次に俺が飲むビールは、ラガーだ。それも、氷のように冷えたやつさ。
アレキサンドリアには、中東一うまいビールを出す小さなバーがある。
無事に辿り着くことができたら、そいつをみんなに一杯ずつおごるよ。」

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途中、南アフリカ軍のファン・デル・ポール大尉(アンソニー・クェイル)という人物に出合い、彼も一行に加わることになる。大尉は並外れた体力とドイツ語の能力で何度か彼らの窮地を救うのだが、しかし彼にはいくつか不審な点がある…


感想

危機また危機というようなスピーディーな展開ではなく、一つ一つの場面をじっくりと描きこむような映画なので、かなり疲れますが、少なくとも私は退屈することはありませんでした。久しぶりに重厚な映画を見た気がします。

自分の内部に崩れそうな弱さを抱えながら、外部の困難を克服しようとする主人公、というのは私の好きな設定です。

女性キャラクターがお飾りではないのも良いです。
それにしても、女優に対する扱いとしてはこれは酷だなあ、というようなことがいくつかありました。
私だったらあんな風にしょっちゅうハエが顔にたかってくるような場所には、もうそれだけで絶対に行きたくない。
前記のインタビューでシムズは「専属契約だったから、作品を選ぶ権利なんてなかったのよ」と笑っていましたが。

ドイツ軍も少しは出てきますが、ことさら悪役めいたものではなく、普通の軍人として描かれています。
シムズのインタビューでも「当時、ドイツ人をこのように描くことに抵抗はなかったのか?」といった質問もありました。

話が進むにつれて人間対人間の戦争映画という印象はどんどん薄くなり、自然対人間、という感が強くなります。(ハモンド・イネスやデズモンド・バグリィの作品をちょっと思い出しました。)

結末はさほど意外ではありませんが、味わい深く、
「面白い映画だった」以上に「良い映画だった」という余韻を残し、
映画全体を一段高い位置に上らせていると思います。

同じ監督の『ナバロンの要塞』は、私には特別な思い入れのある映画でもありますし、娯楽映画としての面白さでは圧勝でしょうが、
ドラマの完成度という点では"Ice Cold in Alex"の方が上のように思います。
(『ナバロンの要塞』ではトンプソンは撮影開始後に急遽交替して監督に当たったという裏事情があるので、完成度を云々するのはやや不公平かもしれませんが、見る側にとってはそういうことは関係のない話です。)

日本ではどこが権利を持っているのか知りませんが、地味ながら良い作品なので、発売してほしいものです。
しかし、売れないかなあ、やはり。



[2018-01-11追記: 60周年記念版BDが2018-02-18発売予定です。

Blu-ray.comのニュースによると、
本編には新たに4Kリストアが施され、
既存の特典の外に以下が追加されます。

これから買うならこれを待つのも良いと思います。
これが出れば旧版の値下がりがあるかもしれませんし。

個人的には現行版BDで十分満足しているので、
仮に4K UHDが出たとしても買わないだろうと思います。]



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