『カインド・ハート/Kind Hearts and Coronets』(1949)UK版BD



この映画は日本では劇場未公開のようですが、
2009年以降にジェネオン・ユニバーサルから『カインド・ハート』の題でDVDが何度か発売されています。

ただし、これを書いている時点では廃盤のようで、アマゾンでも
「再入荷見込みが立っていないため、現在ご注文を承っておりません。」
とされています。

私は『マダムと泥棒』のBDに収録されていた「フォーエバー・イーリング」という、イーリングの歴史を追ったドキュメンタリーでこの映画のことを初めて知り、面白そうだと思ってUK版BDを入手しました。
Blu-ray.comのレビューはこちら


基本設定

ルイ・マッツィーニの母はイギリス貴族ダスコイン男爵家の娘だったが、イタリア人歌手と結婚して以来、実家からは絶縁扱いで、貧乏暮らしを続けていた。
故郷の墓に葬ってほしい、という彼女の死に際の願いまでダスコイン家に拒否されたルイは、彼らへの復讐を考えるようになる。やがてそれは、自分より上位の爵位継承権者を全て抹殺する具体的な計画へと変わってゆく。


原題

"Kind Hearts and Coronets"は、最初は何のことだかわかりませんでしたが、
セリフの中でテニスンの詩として
"Kind hearts are more than coronets,
and simple faith than Norman blood."

が引用されていました。
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調べてみるとこれは"Lady Clara Vere de Vere"の一節だそうです。


パッケージ
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封入物はありません。


基本仕様

リージョンコード:B
音声: 英語 LPCM 2.0
字幕: 英語(聴覚障害者用)


メインメニュー
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主人公が行う殺人の方法をモチーフにした、ちょっとしたアニメーションになっています。


チャプター
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一度に一つのチャプターしか表示されないので非常に使い勝手が悪いです。


特典

特典メニューは3ページあります。
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- 音声解説

参加者は以下の3人:
  • ピーター・ブラッドショー(批評家)

  • テレンス・デイヴィス(映画監督)

  • マシュー・ギネス(アレック・ギネスの息子)

3人が揃って録音しています。
この音声解説に英語字幕はありません。

内容のある話は主にブラッドショーから聞けます。
デイヴィスはひたすら賞賛しているだけで、熱意は伝わりますが中味はあまりありません。(いったい"gorgeous"という言葉を何度使ったことか。)
ギネスは控えめで殆ど喋っていませんが、いくつか面白い裏話を聞かせてくれます。

中で「フランス人はセックスをコメディーにするが、イギリス人は殺人をコメディーにする」と言っていたのが、なるほど、と思いました。
ヒッチコックの『フレンジー』や、小説ならアントニー・バークリーなどもその系譜に入れて良いのじゃないでしょうか。
本作の主人公は「最も英国風のシリアル・キラー」かもしれません。半分イタリア人ですけど。


- ジョン・ランディスによるイントロ (2:50)
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ランディスは「フォーエバー・イーリング」にも登場していましたが、服装や背景がこのイントロと全く同じなので、同時に収録されたようです。


- デニス・プライスへのトリビュート (25:52)
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どうやら"Those British Faces"というTV番組の一話らしいです。
主演のデニス・プライスのキャリアを概観するもので、多くの作品からの映像が引用されています。

- BBCラジオ3の「1940年代のイギリス映画 - Episode 4: Kind Hearts & Coronets」(14:26、オリジナル放送日: 2010-09-16)

ジャーナリストのサイモン・ヘファーによる解説です。
"Went the Day Well?"のBDに収録されていたのと同じラジオ番組の、別の回のようです。
元がラジオ番組なので、画面にはずっとポスターが表示されています。
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世の中自体が「何でもあり」になっていた時代に作られたものより、社会的規範が強く機能していた時代にこんなことをやってのけた『カインド・ハート』の方が過激なのだ、という趣旨で、
『if』『時計じかけのオレンジ』も問題じゃない。
『カインド・ハート』こそ最も反権力的(subversive)なイギリス映画だ。」
と言っていたのは面白かったです。


- アメリカ版の別エンディング (2:41)

曖昧な結末を嫌ったアメリカ側配給会社の要請で追加撮影された数秒間を含む結末部分。当然ですが、オリジナルの方がはるかに良いです。


- 修復前後の比較 (5:47)
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- 静止画ギャラリー

スライドショーではなく"NEXT"を選択して進める方式です。
次の画像が表示されると、デフォルトのカーソル位置が"NEXT"ではなく"EXTRAS"になるのが面倒です。

枚数はあまり多くなく、また、"Behind the scenes"と書かれているわりには撮影現場の様子がわかるものはあまりありません。


- 撮影監督ダグラス・スローカムのインタビュー (28:16)

1988年11月に録音された、BECTUの歴史プロジェクトからの抜粋。
インタビュアーはシドニー・コール。
音声のみ、字幕なし。
画面には『カインド・ハート』のセットで撮られたと思われる写真がずっと表示されています。
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- 予告編

YouTubeにもアップロードしている人が複数いるようです。例えば、これ:



クライテリオンDVDとの特典の比較

本作はアメリカではクライテリオン・コレクションから2枚組DVDが発売されたことがありますが、これも現在では廃盤のようです。

私はこれは持っていませんが、公式サイトの記述を見る限り、中心となる特典は以下の二つです:
  • イーリング・スタジオの歴史を扱ったBBCの長編ドキュメンタリー

  • アレック・ギネスが出演した1977年のトーク番組(70分)

『マダムと泥棒』BD収録の「フォーエバー・イーリング」も、イーリングの歴史を追ったドキュメンタリーでしたが、こちらはBBCではなくチャンネル4製作なので、たぶん別物でしょう。


監督の名前の表記

日本版DVDやAllCinemaなどではHamerを「ハーメル」と表記していますし、
『マダムと泥棒』の特典の日本語字幕では「ハマー」と表記されていましたが、
「ヘイマー」とすべきでしょう。

Forvoで検索してみると、
オランダなどではHamerを「ハーメル」と発音するようですが、
Robert Hamerはウェールズ出身だそうですし、
何より、一緒に仕事をしていたダグラス・スローカムがインタビューで「ヘイマー」と言っていますから、まず間違いのないところでしょう。






 

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