切り裂きジャック関連Pt.1: "A Study in Terror"(1965)

比較的短期間に、切り裂きジャック関連の作品を複数見たので、以前に見たものも含めて、数回に分けて書きます。

切り裂きジャック関連の映画は他にも大量にあるので、「これを忘れているぞ」というような指摘をしたい方もおられるでしょうが、あくまで私が見たもの、というだけのことなので。


A Study in Terror (1965)
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シャーロック・ホームズが切り裂きジャック事件を捜査するという、それ自体は誰でも思いつきそうなアイディアを実際に映画にした、おそらくは最初の例。
私が調べた限りでは日本未公開のようです。

US版DVDはMOD(注文に応じてDVD-Rに焼く方式)で発売されていますが、カバーアート(公開当時のポスターのようです)が嫌いです。


UK版DVDは、2005年にFremantleから発売された版が長いこと入手困難で中古にも高値が付いていたのですが、


2013年11月にOdeonからリマスター版の新しいDVDとBDが出ました。


しかし、私が所有しているのは、それ以前の2013年2月にフランスで出たBDです。


フランス版の題名は"Sherlock Holmes contre Jack l'éventreur"(シャーロック・ホームズ対切り裂きジャック)という単純なものになっています。

少し待っていればカバーに"A Study in Terror"と原題の書かれたUK版が入手できたわけですが、フランス版も商品としては悪くはなかったので、それほど残念には思っていません。日本から買うなら最近の為替レートだとフランス版の方がUK版よりだいぶ安価でしたし。

[2017-11-09追記: ドイツ版BDが2017-11-09に発売されました。

特典は予告編とフォト・ギャラリーだけです。]

[2018-02-03追記: US版BDが2018-04-03に発売予定です。

特典は無いようです。]

パッケージ
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このカバーアートは、それ自体としては気に入っているのですが、実際以上に高級感のある、スタイリッシュな映画を予想させるので、UK版のちょっと安っぽいアートワークの方が作品の雰囲気には合っているのかもしれません。
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封入物はなし。


基本仕様

リージョンコード: B
画面: 1.77:1 16:9対応
音声: 英語モノ / フランス語モノ
字幕: フランス語(非表示可)
時間: 95分


メニュー
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動画です。
フランス語吹替版による一場面が再生されます。
ここに見える人物は左からマイクロフト・ホームズ(ロバート・モーリー)、ワトスン(ドナルド・ヒューストン)、シャーロック(ジョン・ネヴィル)、レストラード(フランク・フィンリー)。

- 言語設定
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上から:
フランス語吹替
オリジナル英語音声
フランス語字幕の有り/無し。

- 場面選択
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一度に一つのチャプターを画像だけで示す、私の嫌いな方式です。

- 特典
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"The Many Faces of Sherlock Holmes" (1985年, 45分)
(フランス語題名: "Les mille visages de Sherlock Holmes")
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この部分はPAL方式のSD収録だと思われます。

シャーロック・ホームズを演じた様々な俳優を紹介する、アメリカで製作されたドキュメンタリーです。
ホストはクリストファー・リー
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うろ覚えですが、これは昔、NHKでジェレミー・ブレット版の『シャーロック・ホームズの冒険』を放送していた時期に関連特番として放送されたように思えます。

残念ながらこの特典は、リーのナレーションの上にフランス語が被せてあり、元の英語だけを聞くことができません。

ただ、引用場面の英語のセリフはそのままです。
コナン・ドイルのインタビュー映像もちょっとだけ含まれていますが、ここも音声は元のままです。
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これらにフランス語字幕が付けられていないのは、フランス市場向けの商品としてはいささか手抜きですね。

この特典の画質は悪いです。
非常に古い映画を引用しているところはともかく、この当時の最新作であろう『ヤング・シャーロック』などもひどいですし、リーが画面で喋っている部分を見てもTV番組を録画した古いビデオを見ているような印象です。

引用される多くの映画の中で、これはネタばらしだろうというような場面が使われているものがいくつかあるのが気になりました。

なお、スミソニアン学術協会のサイトに同じ"The Many Faces of Sherlock Holmes"という題の短いビデオ(4:50)がありますが、別物です。


画質

あまり期待していなかったせいか、画質は予想以上に良かったです。
キズや汚れなどはありません。
全体的に薄味というか、色の深みには欠けるきらいがありますが、
これはBDの問題ではなく元々そういう色味の映画なのではないかと思いました。
この年代の、決して大作ではない映画としては良い方ではないでしょうか。
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作品について

これは実際の切り裂きジャック事件とはあまり関係が無く、単に連続殺人事件をホームズが追う映画、という印象が強いです。
そういうものだと思って見れば、十分楽しめる作品です。

陰惨な事件を扱っているわりには作品全体の雰囲気が明るいのは、作品自体があまりリアリズム志向ではない、軽い娯楽作品として作られているからでしょう。
娼婦をはじめホワイトチャペルの住人たちも、一応の汚しはあるものの、妙に清潔に見えます。

キャストはなかなか良いと思います。

ジョン・ネヴィルは外見上古典的なホームズのイメージにまあまあ近いし、少なくとも私にとっては馴染みの薄い俳優なので、他の作品でのイメージが邪魔するということもありません。

しかし、殺人が起きていることをホームズがウキウキ気分で楽しんでいるのはちょっとどうかと思います。

TVシリーズ『シャーロック』のホームズは被害者の惨状を見ても憐憫の情などを示さないことでワトスンに非難されたりしますが、この場合は感情に邪魔させずに事件に臨もうとする、自らを律する態度に見えますし、彼が何も感じていないとは思えない。(このホームズとワトスンの言い争いはほとんど『スター・トレック』のスポックとマッコイのようで、笑ってしまいました。)

しかし、"A Study in Terror"のホームズは明らかに楽しんでいる。
エピローグで事の顛末をワトスンに嬉しそうに話す態度も、その直前で起きたことを考え合わせてみると、ちょっと人間性を疑います。

ドナルド・ヒューストンのワトスンは一見したところ没個性的だったので、ナイジェル・ブルース系の間抜けなワトスンになるのかと思っていたのですが、ユーモラスではあっても間抜けではなく、許容範囲の常識人でした。

ホームズの頼みで仕方なく自分の本性に逆らって「一騒ぎ起こす」場面は笑えます。役者の演技という点ではこの映画で一番の見所かもしれません。

ホワイトチャペルの酒場に連れて来られた時の居心地の悪そうな様子、医者という職業をカーファックス卿に軽視された時の怒りようなど、予想外に記憶に残るワトスンでした。

他に、アンソニー・クエイルジョン・フレイザージュディー・デンチアドリエンヌ・コッリなどが出ています。


エラリー・クイーンの『恐怖の研究』

ところで、翌1966年にエラリー・クイーンが同じ"A Study in Terror"という題名の小説を発表しています。


私は読んだことがありませんが、こちらの解説によると、この小説は映画"A Study in Terror"のノヴェライゼーションとしてコロンビア・ピクチャーズの依頼で書かれたものだそうです。

ワトスンの未発表の手記を入手した探偵エラリー・クイーンがそれについて考察する、という外枠は映画には全くなかったものですし、いずれ読んでみたいものです。

邦訳は『恐怖の研究』という題で出ていますが、現在は絶版のようなので、アマゾンで「Kindle化希望」をクリック。



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