東ドイツSF映画のUS版DVDセットPt.3 "Eolomea"

The DEFA Sci-Fi Collection


(これは上記ボックスセットについての一連の記事の一部です。
各ディスクの共通事項についてはPt.1を参照して下さい。)


Eolomea (1972年, 79分)
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物語
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国際協調的な宇宙開発がある程度進んでいる時代。
マルゴという宇宙ステーションから発進した宇宙船だけが、
短期間に相次いで行方不明になるという事態が発生した。
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宇宙評議会の責任者であるマリア・ショル教授は、
評議会の重要メンバーであるタル教授が公式発言以上の何かを知っていそうだ、と疑う。
記録によればタルは過去に「エオロメア」という名のプロジェクトを主導していた。
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タルの説明によれば「エオロメア」(永遠の春)とは、
太陽系外のある惑星に与えられた名前だ。

その星が発する光は、知的生命体からの信号である可能性があった。
タルらは宇宙船をエオロメアに送る計画を推進していたが、
到着までに数世代を必要とする上、
人類はもっと手近な宇宙開発に忙しかったこともあり、
その計画は破棄され、以後顧みられることもなかった。

だが、本当にそれだけなのだろうか?
今回の宇宙船失踪事件と何か関係があるのではないのか?

やがてマルゴ自体からの連絡も途絶えてしまったため、
マリアは自ら調査に向かうのだが…。
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--- Music and Science Fiction - Playing with Boudaries 静止画テキスト。
Victoria Piel (フランツ・リスト・ヴァイマル音楽大学)による、このセットに収録された3作の音楽についての解説。
それぞれの作曲家とそのアプローチなどを述べているだけで、たいして面白味はありません。

--- Herrmann Zschoche - Biography & Filmograhy: 監督の略歴・作品歴。静止画テキスト。

--- Angel Vagenshtain - Biography & Filmograhy: 原作者の略歴・作品歴。静止画テキスト。

--- Cox Habbema - Biography & Filmograhy: 主演女優の略歴・作品歴。静止画テキスト。

--- フォト・ギャラリー 静止画。

--- Cosmonaut Dreams - Made in Babelsberg (映像/19:18/英語字幕あり)
以下のスタッフ3名のインタビューで構成されたフィーチャレット。
  • 衣装デザイナー Barbara Müller-Braumann

  • 特殊効果カメラマン Kurt Marks

  • 撮影技師 Jan Peter Schmarje

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Kurt Marksはこの中で、「宇宙船の模型を上下逆に吊って撮影したものを上下逆に見せると、模型は上から吊られているという先入観のせいで模型の下にあるワイアーに観客は気づかない」という手法を考案したことを語っています。
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これは円谷英二が考案した手法と同じですね。
同じ問題に対して同じ解決策をを思いつく人間はやはりいるものなのだな、と感心しました。


感想

見ている間は退屈なところが多いのですが、最後まで見てみると、
「こういう話なら、映画としては本来もう少し面白くできたはずなのに」と惜しまれました。

宇宙開発に情熱を燃やす人々や、犠牲になる人々を描き、それでも人類は進んでいくんだ!という「感動的」な物語にしたかったのではないかと思いますが、そういうレベルには遥かに達していない。

その残念な空振り感のせいで『さよならジュピター』を思い出しました。


物語に共通点はほとんど無いのですが、根本に流れている
「人類は宇宙に出てゆくべきなのだ。どんな困難があろうと、それだけの価値があり、そして人類は必ずそれを成し遂げるのだ」という無批判なプロパガンダ的な感覚と、そこに映画として説得力を全く持たせることができていない薄っぺらさに、共通するものを感じます。
(『さよならジュピター』の情けなさに比べれば本作の方がだいぶマシですが。)
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本作は時系列が前後する構成になっています。
珍しい手法ではありませんが、場面が変わるごとに「これはいつの時点の話なのか」が非常に判りにくく、効果的ではなかったと思います。
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上述のあらすじでは無視しましたが、宇宙の辺境で苦労している人々の描写にもかなりの時間を割いています。
これが物語に深みを与えるべきところなのですが、
全体の流れを止めるような効果になってしまっている。

おそらく、一見無関係な描写から徐々に主要人物の過去や関連が明らかになり、
最後の謎解きと共に結びついて「そうだったのか!」というような映画にしたかったのでしょうが、失敗しています。
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私にとっては、物語の鍵になるタル教授を演じた俳優(Rolf Hoppe)の、
かったるそうな演技が非常にわざとらしく感じられ、大きなマイナスでした。

老境に入った人間が抱える「人生の疲れ」みたいなものを表現したかったのでしょうが、
単にやる気が無いようにしか見えない。
解説によると当時本国ではそれなりに名のあったベテランらしいのですが、
どうにも薄っぺらい。

マリアから見て敵か味方か良くわからず、最終的にどちらであっても説得力を持たなければいけない、というような役なので、例えばドナルド・プレザンスのような役者が望まれたところです。
(日本だったら内田朝雄とか西村晃、金子信雄あるいは小池朝雄など…
おや、全員『吸血髑髏船』に出ていますねえ。)

マリア役の女優(Cox Habbema)は、くわえタバコで颯爽と登場し、なかなかカッコいいです。
オランダ出身で、舞台演出などもする人だそうです。
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[2017-09-18追記: ドイツでBDが2017-05-15に発売されていました。

BR-D.DEDVDBeaverのレビューによると、
特典に関しては上記のDVDよりも少ないように見えます。]

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